WTSD(ショウダウン率)は、プレイヤーがフロップに参加した場合に、ショウダウンまでプレイし続ける割合です。この数値自体が弱いプレイヤーを見つけだすのに、VPIPと同じぐらいに役に立つかという問題は議論の的となってきました。(もちろん両方併用するのが一番いいわけですが。)WTSDが20%-25%は、うまいプレイヤーが示す典型的な数値です。30%以上のプレイヤーは、おそらく降りるべき手であっても最後までプレイしていると言えます。WTSDが35%以上のプレイヤーにブラフを仕掛けるのはお勧めできません。
WTSD%それ自体はプレイヤーのフロップ後のプレイヤーのおおまかな傾向を指示しています。これを最大限に生かすには、前にあげた3つの統計(及びこれから述べるW$SD)とを組み合わせる必要があります。以下にWTSDとその他の統計を組み合わせて相手についての情報をどう引き出すかについて述べています:
- 高いPFAと高いWTSDの組み合わせ – これはこのプレイヤーが相手を降ろすのに十分なぐらい大きなベットを出来ていないことを示しており、おそらく、相手にドローを引かせてしまっているでしょう。
- W$SDとWTSDの組み合わせについては、次のセクションで述べることにします。
上で述べたことから明らかになってきていると思うのですが、WTSDをゲーム中に意識しておくことは、相手の弱点を突くのに役立ってくれます。
W$SD(ショウダウン勝率)はショウダウンになった場合に勝つ割合です。かなりの割合でこの統計はWTSD%と負の相関関係にあることが多いです。平均的なWTSD(〜25%)を持つプレイヤーの典型的なショウダウン勝率はだいたい50%程度です。50%以下のW$SDでサンプルサイズが大きい(10,000ハンド以上!)場合には、プレイになんらかの問題があるのだといえます。
もちろん、あなた自身以外のプレイヤーで10,000ハンド以上のサンプルをデータベースにもっていることなどほとんどないでしょう。ですから、この数字はスモールサンプルに基づいたものであり、短期的には運に左右されやすいので、あてにしすぎないようにすることをお勧めします。1,000ハンド以下のサンプルの場合、この数字はあてになりません。
W$SDを利用するには、1,000ハンド以上のプレイヤーの中で、極端な数値を示しているプレイヤーに注目するのがいいと思います。大半のプレイヤーはW$SDが45%から55%の間に収まっていますが、W$SDがその外にある場合には、プレイヤーのスタイルが反映されているとみて、注目していいと思います。そのためにはWTSDとW$SDを組み合わせてみることで、以下のようになるでしょう:
-
高いWTSDと高いW$SDを持つ場合 – これは普通ではありえません。これがたまにですが起きるとしたら、タイト(VPIPが低い)で消極的なプレイヤー(「ネズミ」か「ロック」)で、が自分のハンドで勝ち続けた場合です。
-
高いWTSDと低いW$SDを持つ場合 – これは割合普通で、特にローステークスでよくみられます。これに加えてVPIPも高い場合、このプレイヤーは下手(「魚」)だということを示していますし、VPIPが低い場合にはタイトパッシブなプレイヤーでプレミアムハンドを捲くらせないことに失敗しているといえます。
-
低いWTSDと高いW$SDを持つ場合 – ここで取り上げた4つの組み合わせのうちで、最もよく見られるのがこれです。このプレイヤーはおそらく勝っていますが、降りすぎであって、オッズがあっているときでも、負けていると思ったらコールせずに降りてしまっている(特にリバーで)場合もあります。
-
低いWTSDと低いW$SD – これは滅多にみられませんが、アグレッシブなプレイヤーが強いハンドをアグレッシブに(ハンドをショウダウンなしに終わらせ)、弱いハンドを弱く(チェックでまわして)プレイした場合に見られます。またこれを見ることで、仕掛けるブラフが弱い(特にリバーで)ためにコールされてしまうようなプレイヤーを見つけることが出来る場合があります。この仮説を裏付ける(あるいは否定する)にはリバーのみのアグレッション指数を合わせてみることが有効です。
いま挙げた2つに加えて、フロップ後のプレイの読みに役立つような情報がもうひとつあります。W$WSD (フロップに参加したときの勝率) です。この統計が有効になるには、W$SDと同じくたくさんのハンド数が必要となるため、補完的なものとして言及するにとどめたいと思います。
Blind Steal %
Blind Steal % (ブラインドスチール率)はプレイヤーがブラインドをスチール出来るチャンスに、どれぐらいの割合でそうするかという指標です。これまで述べた統計とは異なり、このパーセンテージはある限られた状況で限られた特定のアクションを取るか – 自分がプリフロップでボタンかカットオフのポジションで、前にだれもポットに参加していない場合にレイズするか – ということを表しています。これは6人テーブルで特に有効です。今述べた状況はフルリングのテーブルでは起こりにくいからです。
自分のブラインドを「守る」べきかどうか(これについては次のセクションでさらに述べます)以外に、前に少し触れたようにBlind Steal %はPFRと組み合わせることで、プレイヤーがポジションを意識してプレイしているのか、それとも単にハンドをプレイしているのかを推し量るよい基準となります。高いPFR %と低いSteal Blind %は後者であろうことを示しています。基本的に、この統計は、相手がレイトポジションからレイズしてきた場合に、どれぐらいリスペクトすべきかの指標となります。
うまいプレイヤーのBlind Steal %は少なくとも20%ぐらいはあるはずですが、これはスターティングハンドの上位20%ぐらいのハンドを持っていれば、ブラインドのプレイヤーがそれよりいいハンドを持っている可能性が低いということからきています。
Blind Defence %
Blind Defence % (ブラインドディフェンス率)はビッグブラインドがスチールに対してディフェンス(レイトポジションのレイザーに対してコールかリレイズする)を行う割合です。この数値に関しては、あなたの左へ2つ先のプレイヤー以外には注意を払う必要はないと思います。このパーセンテージが低い時ほど、より頻繁にスチールを仕掛けるべきです。しかしながら、特にローステークスやフルリングのNLではこのパーセンテージは、ブラインドスチールそのものが少なく、リレイズはハンドがいい時しかしないため、低い傾向にあります。
Continuation Bet %
Continuation Bet % (コンティニュエーションベット率 – 時にはPFR(Flop Bet)と表記されることもあります)はプリフロップでレイズした場合に、フロップでもベットする(フロップで誰かが先にベットしている場合を除く)割合です。これもまた、特定の状況におけるプレイヤーの傾向を読んで利用するための統計です。
コンティニュエーション・ベットが高いプレイヤーは、プリフロップでレイズした場合エースハイやそれ以下でベットしてくるので、コールやレイズする価値があります。(ただし、PFR=プリフロップでのレイズ率が低いプレイヤーの場合は強い手をもっている可能性が高いので要注意です。)コンティニュエーションベット率が低いプレイヤーはハンドがある時にだけベットしてくる傾向にあるので、そのプレイヤーがパッシブなのかアグレッシブなのか、その他の統計(特にPFA と WTSD)を見てみる価値があります。もし、後者なら、そのプレイヤーは、素直なプレイヤーで、手がある時にベットして、ないときにフォールドする傾向にあります。というのも、コンティニュエーション・ベットは(セミブラフと並んで)最もよく使われるタイプのブラフなため、この場面でブラフしないプレイヤーはそれ以外の場面でもしないだろうと考えられるからです。