The 2+2 Forum
マイクロNL 今週のコンセプト
ダブルバレルの使い方
ベストハンドがない状況で、ターンやリバーでポットを勝ち取ることのバリューは非常に大きい。なぜなら、ポットは平均的にベッティングラウンドの後半になるほど膨らむからである。今回のコンセプトは、いかにセカンドバレルでポットを勝ち取るかということ。ダブルバレルは(double barrel)対戦相手や状況によるところが大きく、いわゆるマニュアルとして提示するのが難しい。代わりに、このコンセプトに関する情報を大量に提供することで、その根底にあるコンセプトを理解し実戦で適用してもらえると嬉しい。
ダブルバレルを行う際の注意点
マイクロステークスで得られる利益は、ほとんどフロップでのコンティニュエーションベット(Cベット)と、以後のバリューベットによって得られる。下手なプレイヤーがよくやらかす最大のミスは、クソハンドをプリフロップでコールし過ぎ、しかもフロップ以降でそれらをフォールドしないことだ。したがって、フロップではCベットにより彼らのノーヒットをフォールドさせ、ターンとリバーでは、ヒットしたがベストでない彼らのハンドをコールさせるためにバリューベットをする。ベット額が大き過ぎてターンやリバーで彼らの弱いキッカーのトップペアなどをフォールドさせてはならない。
頭に入れるべきこと
ダブルバレルを打つときに考える主な要素は三つ。プレイヤーの読み、ボードの様相、そしてエクイティ。ボードの様相は実にいくつかのことに影響する。フロップコンティニューイングレンジ、ボードの発展、そしてスケアカードだ。これらはゆるく以下のように定義される。フロップコンティニューイングレンジ(Flop Continuing Range、FCR):フロップでコールするレンジとは、Cベットされても相手がプレイし続けるハンドの範囲のこと。FCRは人によって微妙に異なり、プレイヤーの読みが重要になる。
平たく言えば、ダブルバレルはこのFCRが広いプレイヤーに対して打つ方がいい。FCRが狭いプレイヤーよりは、マージナルな(あまり強くない)ハンドを持っている可能性が高いからだ。FCRはプリフロップコール率とボードの様相両方に影響される。例えば相手がビッグブラインドで何でもコールするプレイヤーなら、フロップでセカンドペアやサードペアといった、フロップでは簡単にコールできるが、ターンやリバーでのコールは厳しくなるような、弱い完成ハンドをヒットさせる可能性が高い。また、ボードには、よりコールされやすい組み合わせがあり、ダブルバレルの絶好の機会となる。
ボードの発展:ボードの様相はターンとリバーで変わる。その変化が穏やかな場合もあれば激しい場合もある。ボードの様相が後半のベッティングラウンドでどのように発展するかを知ることは、ダブルバレルを、特にFCRとの関連において理解する上で必須である。
スケアカード:あまり説明するまでもないだろう。スケアカードとは、想定している相手のレンジにヒットしてしまうカードだ。また相手から見た場合にボードが悪化してしまうカードのこと。後述の例を参照。
著者のダブルバレル概論
1 ボードの様相が次のように発展したときに、ダブルバレルをしたい。A 相手のターンでのコンティニューイングレンジをFCRよりもかなり狭めるように発展したとき。B ターンのカードが自分のハンドのポットエクイティを高めたとき。
2 相手のFCR が低い/タイトなボードはダブルバレルに向いていない。
3 ダブルバレルに最適なカードは、ボードが悪化しながらも自分のエクイティも高まるスケアカードである。
4 ダブルバレルに都合が悪いカードは、想定している相手のレンジを改善させたか、ボードにペアを成立させたか、もしくは誰のカードも改善しないカードである。
5 他の状況が同じ場合でも、ポジションがないときにこそダブルバレルを多用すべきである。それは、ターンで相手がフォールドしなそうなときにフリーカードを与えて自分のエクイティを損なってはならないからである。また、相手にポジションがあれば、フロートされたり、広いレンジでコールされる可能性が高まるからである。
6 メモを取ることは本当に役に立つ。マージナルな状況下での読みは非常に重要だ。プリフロップおよびブロップでコールするレンジは十人十色だからだ。例えばもしポジションがない状況でルーズにコールする相手を見かけたなら、将来そいつに銃弾をガンガンぶち込むことを本気で検討すべきだ。たとえバレルに不向きなボードであっても。
7 ターンでバレルを打ったからといって、必ずしもリバーでもベットする必要はない。馬鹿の一つ覚えのようにセカンドバレルの後にリバーで毎回オールインしていたら破産してしまう。セカンドバレルを打つ大きな理由は相手にマージナルなハンドをフォールドさせることだ。コールされたからリバーで自動的にオールインする理由などないはずだ。8 フロップで強いハンドかドローが来たらほぼ必ずレイズするプレイヤーを見つけてみよう。もしそういった相手が単にコールしたなら、それは弱気のサインかもしれない。
フロップの様相とバレルとの関連性
ボードがいかに発展するかを把握することはダブルバレルの重要な要素だと説明した。いくつかのフロップのパターンを例示する。後程まとめるが、まずは概論を頭に入れてほしい。
エースハイとキングハイの「ドライ」なフロップ
これらはCベットに最もおあつらえ向きなボードだ。エースとキングが相手から見たこちらの想定レンジであるばかりか、相手のプリフロップレンジが常にこういったボードにうまく絡むとは考えにくい。簡単に言えば、あなたがA82でCベットしたなら、相手は6x7xやKxQxなどをフォールドするだろう。なおかつ、相手がフロップをチェックコールするようなドローはない。
ボードの発展:ターンでのスケアカードはまずなく、こういったボードで怖いのはむしろフロップの時点である。
相手のFCR:相手にポジションがないときはタイトなはずだ。相手にポジションがある場合は、相手の情報をもとに見当をつけてみよう。
ビハインドな状況下でのエクイティ:A82のボードであなたがベストハンドを持っていないなら、おそらくリバーでも同様だろう。それでもエクイティをベースとしたセカンドバレル(ターンでフラッシュもしくはストレートドローを引いた場合)を打っておけば、以後良いハンドが来たときにベットしやすくなる。
このフロップでコールされた場合、相手は大体トップペアを持っておりフォールドするつもりはないだろう。確実な読みやデータがない限り、ダブルバレルは控えるべきだろう。
ハイカード1枚、ローカード2枚
ハイカード1枚にローカード2枚とは、例えばJ42のようなフロップのことだ。こういったボードはCベットにはそこそこ向いている。相手はペアが揃わなければほとんど降りるだろうが、ジャックはエースやキングほどには相手から見た想定レンジには入らないため、平均的に簡単にコールされやすい。こういったボードでCベットするのは構わないが、条件が揃えばさらにバレルを打つ覚悟で臨まなければならない。
ボードの発展:これは次のカードがどれだけ低いかによる。ジャックには3枚のオーバーカードがあり、これらが出たらセカンドバレルを打つには上々だが、4より上のカードでも小さなポケットペア相手にとってはスケアカードとなり、ボードが悪く発展しても手助けとなる場合がある。9xやTxあたりが該当し、特にフラッシュドローが成立した場合は有効だ。これらはエクイティブースター(相手にとってこちらのエクイティが増加したと思わせるカード)であり、相手にとっては、次のサードバレルの恐怖を考えるとマージナルなハンドでブラフキャッチするのは厳しい選択となる。
相手のFCR:中くらいだろう。
ビハインドな状況下でのエクイティ:相手から見ればこちらのレンジには3〜6のアウツがあり、かなりの数のバックドアドローも入る。悪くない!
ハイカード2枚、ローカード1枚
プリフロップコールレンジの広い相手に対しては、ポジションがあれば理想的なボードだろう。相手はトップかセカンドペアもしくはドローでもなければ、まずベットをコールできない。分かりやすい例は、KQ2。ただし、こういったボードでは相当強いハンドがなければベットはコールしにくいため、いざコールされたら以後のバレルは慎重になるべきだろう。
ボードの発展:相手から見たらこれ以上怖くなることはあまりない。
相手のFCR:非常にタイト。
ビハインドな状況下でのエクイティ:あまりない。ターンでドローを引くことを祈ろう。
ローカードで、微妙に絡んでいるボードローカードで、微妙に絡んでいるボードとは、例えば974である、バレルには完璧な状況だ。何故か?こういったフロップはとにかく何でもコールされやすい。
ボードの発展:ただしこういったボードはかなりの頻度でまずいことになる。一番無害なのは、オーバーカードが5枚もあるフロップの時点だ。つまり、こういったフロップでは、次のターンのほぼ全てのカードでもベットし続けるつもりでCベットし、広いレンジでコールしてしまった相手に罰を与えるべきだ。
相手のFCR:全てのペア、多くのエースハイ、弱いドロー他、いろいろなハンドがコールされる。
ビハインドな状況下でのエクイティ:アリ過ぎ!
ウェットなボード
このタイプのフロップは相手のレンジでよくヒットする。 T87などのフロップでは、かなりの頻度でコールされ反撃される。そのため、一般的にはCベットには向いていない。相手にとって想定される「空の」Cベットレンジは?それはコールされたら改善する余地はあっても、チェックレイズされて持ちこたえられるほどは強くないハンドだ。AKなどもそれに含まれる。
頭に入れるべきは、相手はレンジの上位ハンドを持っていたらほぼ必ずレイズないしチェックレイズを仕掛けてくるということだ。したがって、こういった状況下でもたまにCベットして、もしそれがコールされたなら、かなりの頻度で以後ダブル(さらにトリプル)バレルを打っていい。なぜなら、単なるコールの場合ほとんどがマージナルなハンドであり、Cベットした場合のこちらの想定ハンドは、平均的に相手よりも強いからだ。
ボードの様相とバレルについてのまとめ
上がフロップのパターンの全てではないが、上を理解したなら、他のボードでの戦略も思いつくはずだ。コールされやすいボード、されにくいボード、まずい状況になりやすいボード、なりにくいボード、と様々である。バレルを打つかどうかの判断をするときは、相手がどれだけ広いレンジであなたのベットをコールするか、またどういったターンカードでどのくらいフォールドするかの、読みを駆使してほしい。
ミドル〜ハイステークスへステップアップする人は、対戦相手がどのレベルのプレイヤーなのかを把握することが非常に役に立つ。そのステークスでダブルバレルが常識となっていれば、敢えてこの理論と逆行するプレイをたまにするのも有効だろう。例えば、バレルに相応しくないカードが出たときに強いハンドでチェックで回すのが正解なこともある。相手はあなたがしょっちゅうブラフするとは思っていないだろうからだ。また、こういった状況でたまにブラフしたり、相手があなたがいつもバレルを打っていると読んでいたら、バリューのために敢えて軽いベットをするのが正しい場合もある。
参考ハンド履歴
上記コンセプトがどのように適用されているかを見てほしい。
Full Tilt Poker $400.00 ノーリミットホールデム - 9 人
ハンド@
(対戦相手はブラインドでかなりのレンジをコールする弱い常連)
MP1: $400.00
MP2: $139.10
CO: $400.00
BTN: $63.00
SB: $72.00
BB: $300.00
UTG: $174.40
UTG+1: $152.50
Hero (UTG+2): $433.00
プリフロップ:($6.00) Hero は UTG+2:A K
2人フォールド、Hero$14にレイズ、5人フォールド、BB $10コール
フロップ: ($30.00) T 4 6 (2人)
BBチェック、Hero $20.00ベット、BB $20コール
ターン: ($70.00) Q (2人)
BBチェック
Hero $54.00ベット
ハンドA
(リンパーは弱いフィッシュ)
Full Tilt Poker $1000.00 ノーリミットホールデム - 9 人
UTG+1: $1060.00
UTG+2: $784.00
MP1: $2027.00
MP2: $3005.00
CO: $565.55
BTN: $2457.00
SB: $490.00
Hero (BB): $1040.00
UTG: $425.00
プリフロップ:($15.00) HeroはBB:J Q
5人フォールド、CO $10コール、 2人フォールド、Hero $40にレイズ、CO $30コール
フロップ: ($85.00) 6 3 K
Hero $50.00ベット、CO $50コール
ターン: ($185.00) A
Hero $135ベット
ハンドB
(コーラーは上手い常連)
Full Tilt Poker $400.00 ノーリミットホールデム - 8 人
BTN: $249.60
SB: $819.30
BB: $578.50
Hero (UTG): $440.50
UTG+1: $484.00
MP1: $764.00
MP2: $813.00
CO: $394.00
プリフロップ: ($6.00) HeroはUTG: K A
Hero $14にレイズ、1人フォールド、MP1 $14コール、5人フォールド
フロップ: ($34.00) 4 5 7
Heroチェック
ハンドC
(BBは手強い常連)
Full Tilt Poker $400.00 ノーリミットホールデム - 9 人
MP1: $400.00
MP2: $139.10
Hero (CO): $433.00
BTN: $63.00
SB: $72.00
BB: $400.00
UTG: $174.40
UTG+1: $152.50
UTG+2: $400.00
プリフロップ: ($6.00) HeroはCO:Q J
5人フォールド、Hero $14にレイズ、2人フォールド、BB $10コール
フロップ: ($30.00) 7 4 T
BBチェック、Hero $20.00ベット、BB $20コール
ターン: ($70.00) 9
BBチェック、
Heroチェック
Ricky1231著
http://forumserver.twoplustwo.com/78/micro-stakes-full-ring/cotw-double-barreling-651776/