ショウダウンバリュー

 

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ショウダウンバリュー

1. 解説
ポストフロップのレンジを検証する際には、ハンドをその強さ別にカテゴライズ化するのが便利だ。その中でも最強のバリューハンドは、プレイするのが簡単だ。出来るだけ多くの金額を勝ち取るためにあらゆる手を尽くし、決してフォールドしない。一番弱い部類のハンドも同様に簡単だ。ほとんどフォールド、たまにブラフ。レンジが中くらいになると、少しややこしくなって来る。戦略スレッドでよく見かける質問は:トップペアトップキッカーをフォールドすべきでしょうか?このターンベットはコールすべきでしょうか?このリバーはベット/フォールドすべきでしょうか、それともチェック/コールすべきでしょうか?

このミドルレンジのハンドはショウダウンバリュー(SDV)ハンドとして考えることが出来る。このレンジのハンドは、いざ蓋を開ければベストハンドである可能性がそこそこあるが、ベットやレイズをすると自分をバリュータウンに送り込んでしまうことになる。ゆえにここでの目標は出来るだけ安くショウダウンに行きベストハンドで勝利することである。ここでは、いくつかのサンプルハンドを見た上で、アドバイスや警告を述べたい。

 

2. サンプルハンド

A. 標準的なSDVハンド
相手は26ハンドでVPIP:19%/PFR:0%(19/0)。Heroはポジションがあり、Q9oでフィッシュ相手にポットをスチールしに行く。

 

SB ($100.50)
BB ($91.65)
UTG ($98.50)
MP1 ($107.70)
MP2 ($100)
CO ($114.65)
Hero (Button) ($101)

プリフロップ:Heroはボタン、ハンド:9 Q
4人フォールド、Hero$3ベット、1人フォールド、BB $2コール

フロップ:($6.50) J A 3 (2人)
BBチェック、Hero $4ベット、BB $4コール

ターン:($14.50) 9 (2人)
BBチェック、Heroチェック

リバー:($14.50) 3 (2人)
BBチェック、Heroチェック

最終ポット:$14.50 | レーキ:$0.70

結果:
Hero:9 Q (9と3の2ペア)
BB:Q K (3の1ペア)
勝敗: Hero $13.80獲得

 

オープンした後、ボードは非常にドライかつスケアカードがあるので、標準的なCベットをし、相手にフラットコールされた。ターンではペアが完成し、より小さいポケットペアや、KTやこの相手がフロップでフラットコールしたKQのようなカードには勝っているので僅かのSDVが発生した。ここで9のワンペアをバリューベットするのは自殺行為だ―相手はエースやJJがあればコールするし、それ以下ならフォールドするだろう。ショウダウンまでペアをチェックで回し、結果ベストハンドだった。

 

B.強いハンドを持っている
一見強いハンドを完成させてしまうことがある。こういった場合、そのなんちゃってな強いハンドゆえについベットしたくなる。しかし現実には、相手がそれをコールしたらだいたい相手が勝っている。

これはセッションの一番最初のハンドだったので、ヘッズアップディスプレイ(HUD)がなかった。特に常連でもフィッシュでもないようだが、まだ手探りだ。

 

UTG ($102.45)
Button ($51.80)
SB ($111.40)
Hero (BB) ($100)

プリフロップ:HeroはBB、ハンド:K 3
2人フォールド、SB $0.50コール、Heroチェック

フロップ:($2) 7 K K (2人)
SB $2ベット、Hero $2コール

ターン:($6) 4 (2人)
SB $6ベット, Hero $6コール

リバー:($18) 6 (2人)
SB $18ベット、Hero $18コール

最終ポット:$54 | レーキ:$2

結果:
SB:Q Q (KとQの2ペア).
Hero:K 3 (Kの3カード).
勝敗:Hero $52獲得

 

このハンドではHeroはブランド対ブラインドの勝負で、フロップにてキングのトリップス(ボードのペアと手札1枚での3カード)を完成させた。おそらくナッツハンドだろう。しかし相手はプリフロップでリンプした後、3回ものポットベットをして来た。相手のベットはこの状況ではポラライズ(二極化)されている。キングを持っているか、完全なブタか。K2以外のキングはこちらのハンドに勝る訳だから、ここでは超強力なこのハンドを最後までコールしなければならない。こちらがレイズすれば、相手が単なるブラフだった場合はフォールドし、より強いキング持ちならコールするだろう。相手に対する読みやデータがあれば違うプレイの仕方もあるだろうが、未知の相手にはここは全てコールでいいと思う。

 

C. SDVとしてのエースハイ
エースハイやキングハイのような弱いハンドにショウダウンバリューがあることもある。ショウダウンまで行くかブラフを仕掛けた方がいいかを決断するには、相手のレンジをよく想定することが重要だ。

次の相手は常連でVPIP/PFRは15/11。彼のビッグブラインドでのスチールに対する3ベット率は6%。

 

MP3 ($63.55)
CO ($103.50)
Hero (Button) ($102.70)
SB ($72.30)
BB ($121.25)
UTG ($114.55)
UTG+1 ($110.45)
MP1 ($106)
MP2 ($98.90)

プリフロップ:Heroはボタン、ハンド:K A
6 人フォールド、Hero $3ベット、1 人フォールド、BB $11にレイズ、Hero $8コール

フロップ:($22.50) 8 4 J (2人)
BB $14.50ベット、Hero $14.50コール

ターン:($51.50) 4 (2人)
BBチェック、Heroチェック

リバー:($51.50) 2 (2人)
BBチェック、Heroチェック

最終ポット:$51.50 | レーキ:$2.55

結果:
Hero:K A (4の1ペア).
BB:7 6 (4の1ペア).
勝敗:Hero $48.95獲得

 

相手の3ベットのレンジはミディアムおよびハイポケットペア、AJ+、そしていくつかの小さいAxそしてKxのブラフ。彼のフロップでのCベットは標準的なので、ベッティングラウンドの後半でポットを奪うべくコールする。しかし、相手がターンをチェックしたとき、彼をブラフでポットから追い出そうとしていた自分を制した。彼のターンでのチェックは、彼が薄いバリューハンドを持っているか、チェック/フォールドするつもりのブタかを意味している。彼のレンジのうちの大部分に勝っているだろうが、ここでベットすることでバリューは得られない。ターンとリバーをチェックすることによって、彼のレンジであるAxとKxに勝利することができ、彼がより強いハンドを持っていた場合にチップを取られることを免れたのである。

 

3. 警告
必ずしも中間のハンド=ショウダウンバリューではないことを理解しなければならない。自分のハンドにSDVがあるように見えて、実際は相手のレンジのほんの一部にしか、もしくは全く勝てないこともある。逆もしかりだ。こちらの手が相手のレンジより強かった場合、いくらかのバリューを失ったことになる。

 

A. 自分のハンドにSDVがあると想定する
相手は16/11の上手い常連

 

Full Tilt ポットリミットホールデム, $1.00 BB (8人)

UTG ($171.35)
UTG+1 ($40.85)
MP1 ($229.95)
Hero (MP2) ($102.70)
CO ($106.70)
Button ($143.50)
SB ($147.85)
BB ($178)

プリフロップ:Heroは MP2、ハンド:2 2
2 人フォールド、MP1 $3.50ベット、Hero $3.50コール、4人フォールド

フロップ:($8.50) 10 9 8 (2人)
MP1 チェック、Heroチェック

ターン:($8.50) 9 (2人)
MP1 チェック、Heroチェック

リバー:($8.50) K (2人)
MP1 チェック、Heroチェック

最終ポット:$8.50 | レーキ:$0.40

結果:
MP1:6 6 (9と6の2ペア)
Hero:2 2 (9と2の2ペア)
勝敗:MP1 $8.10獲得

 

プリフロップではフラットコールでセットを目指し、ポジションのある状態でプレイすることにした。相手がチェックしたとき、ボードにはほぼ一切絡んでいないはずで、彼のハンドを22〜66やAKに想定出来る。彼のプリフロップレンジの他のハンドはペアやドローが出来ているはずなので、Cベットするだろう。このウェットなボードでバリュータウン行きになる(ベットしてコールされて負ける)のを避けるために、SDVのある小さなポケットペアを引き続きチェックする。しかしリバーでは、もはや先に限定した彼のいかなるハンドに対しても勝てない。こちらのハンドは、3度のベッティングラウンドをチェックで回したハンドに対してSDVが一見ありそうだが、相手のレンジ内のいかなるハンドにも勝てない。この時点でリバーでベットするのは馬鹿げている。リスペクトされる訳がない。しかしもし相対的なハンドの強さがもっと早く分かっていたら、もっとうまく計画出来たかもしれない。

 

B. 薄いバリューを逃す
SDVについて誤解されやすいので覚えてほしいが、何でもかんでもバリューを薄いと決め付けて逃してしまってはいけない。ベストハンドをチェックで回すという悪癖を身につけ、得られたはずのバリューをみすみす失い利益率を下げることは避けたい。

相手はアグレッシブなフルリングの常連。普段はだいたい20/18。我々はフィッシュのいるテーブルで3時間、100ハンドほどプレイしており、彼は30/25あたりの参加率で、3ベット率は何と30%だ。

 

SB ($104.50)
BB ($65.65)
Hero (Button) ($100)

プリフロップ:Hero はボタン: J K
Hero $3ベット、SB $11にレイズ、1人フォールド、Hero $8コール

フロップ:($23) A K 7 (2人)
SBチェック、Heroチェック

ターン:($23) 5 (2人)
SBチェック、Heroチェック

リバー:($23) 10 (2人)
SBチェック、Heroチェック

最終ポット:$23 | レーキ:$1

結果:
Hero:J K (Kの1ペア).
SB: 8 8 (8の1ペア).
勝敗:Hero $22獲得

 

広い3ベットレンジの相手にポジションがあるのでKJoで受けるのは問題ないだろう。彼のレンジはAx、Kx、全てのポケットペア、ブロードウェイカード(A〜T)2枚、など。フロップでセカンドペアが成立、そして相手はこんなにあからさまなボードでは絶対にベットしない。彼は自分と同じ、SDVのことを考えているはずだ。リバーまで行くと、もう自分がベストハンドであることは明確だ。ここではベットしてコールされうるハンド(Kx)からバリューを回収すべきだ。しかしマヌケにもベストハンドをチェックで回してバリューを失ってしまった。今このハンドを見直すと、リバーでのバリューは薄いどころか、かなり高い。

 

まとめ

  1. ショウダウンバリューとは自分のレンジの中で、ベストハンドの可能性が高いがバリューを引き出せないもの
  2. ショウダウンでベストハンドである可能性の高いハンドはチェックかコールで回せ
  3. 自分より強いハンドでのみコールされ、弱いハンドでのみフォールドされる状況でベットやレイズをしてはならない
  4. SDVがあるからといって、バリューベットの機会を逃してはならない

 

gadolparah著
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